「JICリーダー」への思い


私が日本語教師だった最初の頃、特に文法の習得には本当に手こずりました。

たくさんの時間を割いて文法知識の習得に励んでいました。

 

それは、

「文法に自信を付けない限り、自信を持って教えられない。学習者に申し訳ない。」

という思いが強かったからです。

 

日本語教師が「プロの職業」である、と自信を持って人に伝えられる1番大切な要素は、「文法を教えられるかどうか」だと私は思っていました。

 

私の勉強の仕方。それは、何冊ものテキストと文法書を集めて、「文法のことならこの1冊を見れば全て分かる!」というファイルを作ろうと、用意した教材の全ての情報を一つにまとめ、分析する、という作業を3年間くらい続けました。

 

それはとても根気がいる作業でしたが、同時に、自分の文法理解が深まっているのも感じるとても充実した勉強法でした。

 

途中でフォーマットを変えたりしながら、集めた200項目くらいの文法ファイルを3回以上は作り直したと思います。

 

今考えると、この

「作ったこと」と、

「何回も作り直したこと」

で、インプットの繰り返しが自然と行われていったのだと思います。

 

大切な一冊が出来上がりました。

初級文法なるほど通信トレーニング

 

そして通っていた日本語学校には、「進学目的」の生徒さんしか基本的にはいませんでした。

ですので、

 

「文法を教科書を使って教える」

という、ほぼ決まり切ったやり方で教えていました。

 

次に、文法の知識にある程度自信がついてからは、授業を刺激的?!にするための工夫にアイデアを出すのが楽しくなりました。

 

あるときはリンゴを持っていったり、あるときは3ヒントクイズを導入にしたり、「名詞修飾」の授業の時は、フルーツバスケットをして、「眼鏡を掛けている人!」とか「赤い服を着ている人!」と、教室を走り回りながら体を使ったゲームをしたりもしました。

 

ですが、これは後日隣のクラスの先生からしっかりクレームが来てしまいまいた^^;(とてもうるさかったそうです。。。)

 

こうやって、

①文法知識の自信

②授業のアイデア

と、日本語の授業への自信と楽しさを感じることができるようになりました。

 

学習者が教師を評価するその学校では、私の評価はどのクラスからも、生徒全員「A」の評価をいただいていましたので、私の実感と評価は繋がっていたのでは、と思います。

 

その後、少人数の生徒さんを対象にした学校も掛け持ちしました。

そこでは「アウトレッスン」という授業があり、また新しい経験をしました。

 

教室で、実際に耳にすると思われる単語を予習し、時には、タスクシートを持って、該当インタビューの練習をして、それから外に出て実践!を行いました。

 

実践では、もちろん「やってみなければ分からない!」という緊張や刺激がたくさんありましたが、「日本語を使わなきゃ!」という切羽詰まった状況から、「伝わった!」という楽しさを感じることが出来ました。現場ならではの実践力の学びでした。

 

この体験から、

③現場で学ぶ必要性と楽しさ

を知りました。

 

そして、日本語教師になって5年くらいが過ぎたときに、日本語教師業界の「交流の場がない」「ブラッシュアップの場がない」「お給料が少ない」という3点を少しでも改善できたら、という思いの元、個人事業という形で少しずつ自分ができることを形にしていました。

 

そんな時、「Japanese Immersion Camp」という、海外の小中高校で、「イマージョン」という手法を使って日本語を教える、というプログラムを実施されている会社から、

 

「参加しませんか?」という依頼をいただき、何度か参加させていただきました。ある時は参加者として、ある時は参加者のマネージャー的立場として。

 

それは、私が日本語関係の仕事をしている、また、自分で積極的に活動を広げているという話が伝わり、声を掛けて下さったのだと思います。

 

日本ではたくさんの生教材があります。どこでもアウトレッスンをすることができます。

でも、海外では、その両方共が手に入りにくい場合がほとんどです。

 

だから持って行きました。

「けん玉」「カルタ」「新聞広告」「食材」「マックのカップやチラシ」「折り紙」「制服」など、たくさんの「日本文化」や「日本のもの」をみんなで手分けして持って行き、それを使って授業をしました。

 

「パスポート」「パワポで飛行機が日本に到着する場面」などの場面作りも行い、

「さ、皆さんは今、日本に着きました!まずは入国審査からです!」と、まさに本当に日本に旅行に行ったような演出をして、皆さんを盛り上げます。

 

そして、日本に滞在する、という設定の数日間を、「まるで日本にいるように=疑似体験=イマージョン」の中で過ごし、持って行った生教材やたくさんの工夫を凝らした、まるで「イベントのようなレッスン」で、ワクワクしながら、生きた日本語に触れる機会を増やしました。

 

おはじきをしながら「一つ、二つ・・・」と数えたり、

チラシを見ながら「リンゴは120円、みかんは90円、全部でいくらですか?」というような値段や比較などの日本語を覚えたり

日本のお菓子を食べながら「ふわふわ」とか「かりかり」とか、食感のオノマトペを勉強したり。

とにかく全てが「体験」と繋がっているのです。

 

ここで

④「文化体験を通しての学びの楽しさ」と「疑似体験=イマージョンの素晴らしさ」

と感動を知りました。

 

そして2014年12月、この①〜④を経験した私ならではの「自分スタイル」で、本格的に起業しました。

 

法人化して、また「0」に戻ったような気持を何度も感じました。

 

会社経営は、①〜④の中の、どれにも含まれていません。個人事業は、まだまだ趣味の延長のような活動でしたので。

だから、また「0」からの分野が生まれたのです。

 

ここでは、大変、大変苦労をしました。

 

でも、だからこそ

 

⑤「自分らしさ」=「自分スタイル」

を形にし、それを「維持すること」の理想と現実を知る事が出来ました。

 

日本語教師を始めて約12年。

個人事業から考えて、約7年半。

法人化して、約3年半。

 

これが私スタイルの「日本語教師」〜「起業」までの歴史です。まだまだ小さな歴史ですが、全部実際に体験してきたことです。

 

その時々に出会ったチャンスや、遭遇した場面に、「自分のため」に準備したり、もっと上を目指したいと努力を続けたりした、それが次々に繋がって、「点」が、だんだん「線」になっていきました。

 

 

「JICリーダー」とは、つまり、私自身がなりたかった「日本語教師のその先」でした。

名前は、私が関わってきた大切なキーワードを繋げました。

 

『JICリーダー』は、Japanese、Immersion、Communication、の頭文字です。

日本や日本語を、イマージョンという手法で、そして、異文化間のコミュニケーションが円滑に行える人、です。

 

こうやって、自分を「JICリーダー」として育てながら、わずかばかりですが、

 

「これが必要」とか、

「こうやったら」とか、

そういうものが見えてきました。

 

 

これが『JICリーダー』が生まれ、私がずっと大切にしている思いです。